真っ白な動物ってカッコイイよな!
理科系の男、みるおかが生物について語ります。
今回は『アルビノ』と『白変種』について…
『アルビノ』という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
白化現象、あるいは白化個体そのものを指すこともありますね。
『ホワイトタイガー』なら聞いたことがあると思います。
体毛が白く、その美しさ、珍しさから、動物園で大人気になることも。
でも実は、ホワイトタイガーは『アルビノ』ではなく『白変種』という、また違った現象で産まれてきた個体です。
今回はそんな『白く産まれた生物たち』の神秘について、解説したいと思います!
『アルビノ』と『白変種』の違い
アルビノとは
昆虫や動物、鳥類、魚類…様々な生物は『メラニン』という色素を持っています。
黒と褐色、2種類のメラニン色素があり、紫外線を吸収する働きを持っています。
アルビノは、先天的な遺伝子疾患で、このメラニン(を合成する酵素)を、全く持たずに産まれてきた個体です。
この症状自体は『アルビニズム』と言い、逆にメラニンが過剰に生成されて『黒化』することを『メラニズム』と言います。
ちなみに、画像はアルビノのカサゴ。
全体が白く、目の色素も薄くなってます。実は、この目が後述の『白変種』と見分けるポイント…詳しくは下記で。
参考文献1:Syndromic albinism: a review of genetics and phenotypes.(2003)
参考文献2:強いられた 「よい適応」: アルビノ当事者の問題経験
メラニンがないと…?
アルビニズムは一般的に致死的な疾患ではないですが、上述の通り、メラニンは『紫外線』を吸収する役目を持っています。
太陽光に含まれる紫外線は、殺菌やビタミンの合成等、我々の体に必須です。
しかし、変異原性のため、過度に浴びると『皮膚癌』を引き起こしやすくなります。
メラニンは紫外線を吸収することで細胞を守ってくれるんですな。
ちなみに、『日焼け』は、紫外線を浴びたときに、体が防御反応としてメラニンをいっぱい作る現象ですよ!
そのため、アルビノの人は、我々と同じ様に社会生活を送っていますが、直射日光に注意したり、日常生活に配慮が必要です。
主な影響として、皮膚ガン発症のリスク増大、視力弱化が挙げられます。
参考:アルビノ – Wikipedia等
また、前項で、『目』がアルビノと白変種の差と言いました。
メラニンは網膜の細胞でも作られるため、メラニンを作れないアルビノの目は色が薄く、多くの場合は赤くなるのです。
白変種とは
『白変種』は、よくアルビノと混同されますが、多くの場合、彼らはメラニン生成に問題はありません。
何らかの突然変異で、体毛や皮膚を白くなっただけで、特別な疾患はありません。
見分け方は、アルビノの項でも書きましたが『目』が黒い(通常種の色)ことです。
ちなみに、動物園で人気の『ホワイトタイガー』や『ホワイトライオン』は白変種です。
ややこしい。苦笑
参考資料:太地町立くじらの博物館:体色が白い動物
『白い』動物が人気に
アルビノの生物たち
【岩国(山口県)の白ヘビ】
山口県岩国市は、白ヘビ…アルビノのアオダイショウが多く生息する珍しい地域です。
なお、この白蛇は”天然記念物”指定。
通常、アルビノは”希少な突然変異”であり、種の存続が難しいですが、この地では”神の使い”と崇める文化が残っており、アルビノの維持につながっています。
【実験用ラット】
バイオ専攻の人は、学生実験で確実に扱っているでしょう。
最近の高校生は解剖とかしないのかな?
実は、実験用の、真っ白で目が赤いラットもアルビノなんです。
実験上の変化を確認しやすいという利点がありますね。
【アルビノコリドラス】
アクアリウム好きな人は、『白コリ』の名前で知っているでしょう。
大人気な熱帯魚、コリドラスのアルビノですが、実は大量に流通しています。
コリドラス可愛いよコリドラス。
アルビノは通常種より弱いことも多いですが、コリドラスに関しては品種改良も盛んに行われ、通常のコリドラスと同様に飼うことができます。
僕も飼ってました。普通に長生き!
白変種の生物たち
ここでは、有名だったり、人気の白変種の写真を。
上から、ホワイトライオン、白孔雀、ホワイトタイガー。
珍しい補正があるかもしれませんが、やっぱカッコイイですね…。
特にクジャクはもはや神鳥…。
人間のアルビノ…神秘と苦悩
人間のアルビニズム
メラニンは微生物から人間まで、生物全般の細胞に存在します。
もちろん、人間にもアルビニズムは見られます。
アルビノの特徴を”長所”として活かし、モデルとして活躍する人も。
しかし、既述の通り、紫外線に対する抵抗性や、視力面など、支援を必要とする人たちも多いのです。
アルビノを『白い』としか認識しておらず、このような支援が必要だと知られていない部分もあります。
このリンクは、アルビノの方のコミュニティとして立ち上げられたHP。
アルビノについての情報が多く掲載されています。
アルビノと犯罪…
父親が息子の右手を切り落とす ― 止まぬアルビノの少年少女襲撃事件=東アフリカ
11歳のアルビノ女児が殺害される、目的は「呪術師が薬の材料にするため」
衝撃的なリンクですが、『アルビノ』の希少で神秘的な特徴が、最悪の方向に進んでしまった例です。
一部の国では、
『幸運を招く』
『異質』
『死霊のよう』
などという噂により、犯罪に巻き込まれたり、差別の対象となる場合もあります。
”清らかな乙女の生き血”と同じ類の下らない噂により、痛ましい事件が起こっていることも、認識する必要があるのではないでしょうか。
おわりに
ペット業界では、なにかとプレミア扱いされるアルビノ種…。
僕もアルビノの魚やクワガタを飼っていたことがあります。
特に熱帯魚はアルビノや白変種が大人気ですね。
その反面、アルビノであることで、配慮が必要な人や、犯罪に巻き込まれる人も。
突然変異も非常に奥が深いのです。
ちなみにみるおかは、大学院時代に、微生物を無理やり突然変異させる実験をして、結局上手くいかなかった、非常に苦い思い出があります…ウェップ(吐)
最近は、ペットの犬や猫も様々な品種が掛け合わされ、遺伝的にはもうワケわかんないことになっています。苦笑
もし、何かペットを飼っている人は、別の視点から色々調べてみてはいかがでしょう。
生物は楽しいよ!
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