ブロガーの中には、プログラミング、WEBデザイン、マーケティング、経済、医療など、情報を『記事』として体系化し、多くの人に読まれている人も数多く見られます。
僕の場合、”専門知識”のレベル(≒企業研究者と対等に話せるレベル)にあるのは、生物科学、栄養学、食品衛生などでしょうか。
これらのジャンルに加え、英語の学習法などについてもいくつか書きました。
いわゆる『バズ』によって投稿直後にアクセス(数万~数十万PV)が跳ね上がった記事もありますが、全体的に『堅実な検索流入』が得られています。
専門記事はカタい印象がありますが、科学的、学術的な記事とは限らず、ハイレベルな専門知識がないと書けないわけでもありません。
今日は、僕がこれまで書いた記事を引用しながら、読まれる、読ませる専門記事の書き方について考察していきます。
専門記事とは
専門記事は『誰にでも』書ける?
『専門記事』というと論文レベルの専門知識が思い浮かんでしまいますが、僕らが書いているのは『ただのブログ』です。
WELQの件で問題になったように、低品質で信頼性の低い記事を書くのはいけませんが、決してハードルが高いジャンルではありません。
専門記事とは『自分がインプットしてきた専門知識、趣味、特技を”情報”として言語化したもの』です。
科学的な記事に限らず、自転車や自動車、プログラミング、マネジメント、ライティングスキル、音楽、スポーツ、経済など…
どんなジャンルでも『専門記事』を書くことは可能です。
例えば、
- 資格を取得した過程や勉強法
- 趣味のスポーツを上達させる『コツ』
- 仕事で上手くいったマネジメントスキル
といった記事です。
アクセスを稼ぐだけでなく、自分の知識の棚卸しや、使った参考書を紹介して収益に繋げるなど、目的は様々です。
『調べたこと、知ってることをまとめるついでに記事にしてみよう』
この程度の軽い感覚で良いのです。
専門記事を書くメリット、アクセス数
専門記事は『自分のため』
さて…専門記事を書くのは面倒くさいです。
PVや収益を一気に稼ぐためだけなら、アフィリエイトや物販特化記事など、他に方法があります。
僕が専門記事を書く目的は『自分が後で見返すため』です。
『自分の知識を体系化し、文章として残せる』だけで十分なメリットとなり、そこにブログのアクセスや収益などのオマケが付いてくるわけです。
トクホの記事なんかは、パッケージ関連の仕事中によく見てますよw
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図表やグラフの作成、文献調査を含めると、記事作成に5時間以上かかることも少なくありません。こういう時は毎日少しずつ書き進め、週末に投稿しています。
とはいえ、結果的にPV等を振り返れば、1時間でちょろっと書いた雑記より、数倍以上のパフォーマンスが出ることがほとんどです。
安定した検索流入(たまにバズる)
この記事では『読みやすい書き方』が主なトピックですが、ブロガーが気になるであろうリアルなアクセスについても触れておきます。
これは昨年4月…私がはてなブログを始めて4か月時点でのアクセスの推移です。
(実はリアルな数字を出すのは初めて…//)
記事数100程度で、毎日の検索流入は3000前後でした。
この月は、検索流入が激増(1500→5000)した後に下がる(5000→3000)というアクシデントがありましたが、検索流入PV10万、バズによるPV10万、合わせて約20万PVでした。(今はもっと高…ゲフンゲフン)
もっと成長の早い人も多いですが、まぁ悪くないアクセスだと思います…たぶん。
キーワード選定と記事内容が上手くハマれば、SNSで拡散され投稿初日~翌日で6ケタアクセスを稼ぐことも可能ですが、大きなメリットはやはり安定した検索流入でしょう。
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この月に最もアクセスを集めたのがこの記事ですが、投稿日~翌日で10万近いPVに加え、安定した検索流入を得られました。
こういった専門記事は物販や成果型報酬広告が主コンテンツではないため、流行りのブログ収益面では物足りないかもしれませんが、月に数百~数千以上の検索流入が期待できる*1ため、PVのベースアップには非常に貢献しています。
専門記事には『リライト』が不要?
リライトがほとんど必要ないことも、専門記事のメリットです。
物販記事のようにリンク切れの世話も不要ですし、芸能トレンドや炎上ネタのようにPV花火が上がった数日後に流入が皆無…なんてこともありません。
記事の作り方に注意すれば、半永久的に価値ある情報を維持できる…すなわち、世話をしなくても安定的な検索流入が見込めるわけです。
データに基づいた普遍的な事実は、情報が古くても価値が廃れないため『賞味期限』がありません。
上位表示維持のために微修正することはありますが『記事内容が古くならない』だけで、リライトの手間はかなり減ります。
記事を上げるまでは少し面倒ですが、上げてしまえば楽なもんです。
『記事を書かなくてもアクセスが下がらない』というのは精神的にも良いですよw
僕のように、会社員の”片手間”でブログをやっているような趣味ブロガーには特に…。
- 1日で5万稼げたけど、それからほとんどアクセスが無い記事
- バズらないけど、堅実に毎月数千読まれる記事
この記事のトピックは後者です。
『長期的にアクセスを得られる記事を作り、最終的に10万PV以上のパフォーマンスを得る』
ことが記事タイトルの本質です。
賞味期限のない『トレンド記事』
芸能や時事問題を扱う『トレンド記事』は、記事の寿命が短く、投稿直後のアクセスから急減することがデメリットです。
上手くビッグワードに乗って爆発的なアクセスを得られれば『コスパ』は良いですが、どうせなら継続的なアクセスに繋げたいものです。
この点を完璧にカバーしているのが、宮田レイシープ(id:goodbyebluemonday23)さんによる以下の記事です。
この記事は、EU離脱について簡単な言葉で書いた記事です。腰が抜けるほど読まれました。EU離脱が決定した日は、その日だけで100万PV近く読まれまして、人々の関心の高さを強く実感しました。
出典:新語・流行語大賞ノミネート語で振り返る2016年に書いた記事のまとめ – さようなら、憂鬱な木曜日
事前に書いた記事がトレンドをがっちり掴み、爆発的なアクセスを得た典型ですが、決してトレンドで終わる記事ではありません。
この記事のベースはイギリスのEU離脱を端的に解説した『専門記事』であり、ライトなネットユーザーにとっては、今後も世界史に残る事件の”資料”となります。
賞味期限の無い『客観的な事実、データ』を、タイミングを計ってトレンドに乗せられれば、短期的にも長期的にもアクセスを最大化できるのです。
専門記事の書き方
需要とターゲット読者、キーワード選定
専門記事は安定して読まれますが、需要が無いジャンルを扱ってもアクセスはありません。
ニッチジャンルの専門知識を提供できるブロガー、ライターは貴重ですが、アクセス数に着目すれば、ある程度の検索ボリュームが必要です。
月に数万程度の検索ボリュームがなければ、上位表示されても月数千のアクセスを得ることは難しいですからね。Google Adwordsなどを活用していきましょう。
自分の専門知識がニッチに偏っているなら、ニッチからマスへ展開する記事構成を意識すると良いでしょう。
僕の場合は『栄養成分分析』に興味のある人が直接のターゲットになりますが、ただ市販食品を分析しても面白くないですし、誰も読みません。
この分野を『健康』と『スポーツ』という、僕の”専門外”のジャンルに結びつけたのが以下の記事です。
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この記事では、投稿翌日にFacebookで1000以上シェアされ、投稿日&翌日で20万近いアクセスを集めました。 タイトルもなるべくニッチ感が出ないようにしました。
メインキーワードはニッチでも、サブキーワードを工夫してマスにリーチできれば、その記事が狙えるターゲットは激増します。
僕はこれを『スモールワードのビッグワード化』と呼んでいます。
ただし、ニッチな分野に特化することで、寄稿依頼につながることもあります。自分の方向性を見定めて記事を作っていきましょう。
文章展開と文字数
専門記事はどうしても『カタい』印象が強く、ライトな読者は敬遠します。
そのため、僕は文字数を3000~6000に収めています。
3000文字以下では情報を十分に伝えられませんが、6000文字を超えると、スクロールバーを見るだけでライトユーザーが離れやすくなる…というのが持論です。
長文になりがちですが、後述の『図表とグラフ』を工夫しつつ、『スムーズに読める文章展開』を意識します。
この点について述べたのが以下の記事です。
【関連記事をチェック!】 上手な研究発表のストーリー構成とは:『三角形』の法則
研究発表では、必ずしも自分の研究テーマに精通している人が聴講者ではありません。
そのため、”なるべく脳に複雑な情報を処理させないストーリー構成”が求められるのです。
ストーリーの幅、抽象度を変動させず、徐々に小さくしていくと、伝わりやすくなります。
これがまるで『逆三角形』というわけですね。
最初は抽象的に、徐々に詳細に説明していく、という流れです。
こういった文章展開は、研究発表に限らず、情報を1つのストーリーとしてまとめ上げるのに役立ちます。
この記事も目的やメリットといった抽象的な話から、具体的なライティングスキルに繋げていますからね。
推敲と『接続詞』
特にここ最近は、ブロガーの絶対数が増えたことによって、「検索で読まれるわかりやすい記事の書き方」が広く共有されている印象があります。でもその結果、短期でバズや収益が出しやすくなっている一方で、全体的に「わかりやすさ」が画一化されているんじゃないかとも
その通りですね笑
僕は専門記事を書くとき、接続詞を限りなく排除しています。
専門知識を過不足なく伝えるのに『数千字』はかなりタイトだからです。文字数削減!
推敲によって『無駄なワード』を極限まで減らし、長いフレーズはできるだけ短いフレーズに置き換えるのが最後の作業です。
ただ、日常やおすすめ商品を記事にするときは、接続詞や口語表現を多用しますよ。
記事に『味』や『自分の色』をどこまで出したいかの問題です。
『検索上位に無い内容』を入れよう
記事を書くとき『検索順位』を意識しますか?
僕は記事タイトルを決めた後、関連ワードを検索し、競合記事にどんなことが書かれているか確認します。
しかし、それは『パクる』ためではなく、競合に無い内容を確認して、競合を完全に上回る記事を書くためです。
そもそも後発がパクリや同レベルの記事を出した所で、ドメイン力も強く、内部施策も施された上位記事を上回ることは難しいですよね。
後発なら、せめて『質』くらいは上回りたいところです。
自己満であっても常に自分に言い聞かせたいですね。
ライトユーザーを敬遠させない『目次』と『図表』
- 最初から全部読む気で来る熱心な読者。
- タイトルや目次を見て読むか決める日和見読者。
- ざっとスクロールして面白そうなら読む潜在読者。
読者といっても様々です。
『文章の作り方』だけ工夫しても、熱心な読者にしか届けることができません。
しかし、最もボリュームが大きいのは、2や3のような、軽い気持ちで読みにくる読者です。
この層を離さないことが、アクセスアップにつながります。
彼らは長く、文章の多い記事はまず敬遠します。
彼らを第一印象で『なんか面白そう』と思わせるかどうかが肝です。
僕がまず考えるのは『目次で魅せる』ことです。
僕のブログは『導入→目次→本編』というのがテンプレですが、常に『目次だけで何が書かれているか把握できる』ようにしつつ、『なるべく読者の目を引く見出し』を作るように心がけています。
目次というライトユーザーの”一次審査”を通過すると、少なくともスクロールしてざっとは読んでもらえるようになります。
次の罠が『1枚で内容を理解できる図表』を散りばめることです。
上図は、料理をするなら絶対知っておくべき植物油脂の基礎知識という記事で用いたイラストです。
この記事では『食用油脂の劣化』という項目を700字程度で解説していますが、その内容はこの図表で完結しています。
熱心な読者にはテキストを読ませ、ライトな読者には図表を見るだけで内容が把握できるよう配慮しています。
イラストは『その図だけで何が書いてあるかわかるように』というのがキーポイントです。
もう1つオマケ…僕が太字を使う基準ですが…
記事内の太字部分を読むだけで、重要な内容は全て把握できるようにしています。
多用するとクドくなりますが、ライトユーザーに向けた『スクロール対策』の1つです。
あなたのブログが『WELQ』にならないために
著作権無視や、根拠のないニセ科学記事で問題となったWELQですが、決して他人事ではありません。
『情報』や『データ』を扱う以上、不意に同じ間違いを犯してしまう可能性はあります。
特にサイエンスの世界では過去の『事実』を覆すデータが見つかることもあります。そのため『なるべく信頼できる』記事を書くしかできません。
この点に関しては、自分で発見したことでない限り『情報やデータの出典』をしっかりと明示するしかありません。
省庁や企業サイト、専門書で情報を確認していけば、自分の知識のブラッシュアップにも繋がります。
記事を提供する側も正しい情報を取捨選択していきましょう。
【あわせて読みたい】 ニセ科学にことごとく騙される人に共通する『致命的な特徴』とは
おわりに
最後に簡単にまとめます。
こう見ると、扱う内容が違うだけで、基本的な記事の作り方は普通のブログと同じです。
全てを意識すると手が止まってしまうので、最初は自分の特技や資格合格記などを『誰かに教えるように』意識して書いてみてください。徐々に感覚が掴めるはずです。
色んな人が色んな特技、特徴を持っており、それを言語化すれば必ず誰かが喜んでくれます。是非、皆さんもチャレンジしてください!
*1:検索ボリュームが数万以上のワードで1ページ目に表示される場合