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理系学生が文系就職するときの注意点とマインドセット【体験談】

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工学部に農学部、理学部…いわゆる理系学生にとって、研究開発やエンジニア、プログラマー(以下、ひっくるめて理系就職)など、専門を活かすかどうかはキャリアを分ける決断です。
やっぱり営業やマーケの方が面白そう!と文系就職する理系学生も少なくありません。

大学院まで進んだものの、挫折したり、興味を失って理系修士から文系就職を目指す人も多いですよね。私にも工学部→経営工学(修士)→文系就職という道に進んだ友人がいます。
この記事では彼へのインタビューも含めながら『理系学部から文系就職した後のキャリアパス』について書いていきます。

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理系から文系就職するメリット・デメリット

履歴書

【はじめに】なぜ理系就職しなかったのか?

研究に向いてないと思ったからですね。4年次に研究室に配属され、再生医療に用いられるデバイスの開発技術を研究していました。ただ、実験の繰り返しがとにかく苦痛だったのと、研究室の閉鎖的な環境が自分に合っていないと思いましたね。ただ、気付いたときには就活シーズンが終わっていました(苦笑)。そのため、大学院では専攻を変えて経営工学を学ぶことにしました。現在は医療機器メーカーで経営企画に携わっています。

元々かなりスペックの高かった彼ですが、就活で文転した理由はありがちなもの。『研究が合わない』という理由で文系就職を考える理系院生は多いです。

私の研究室も、就職難に加えて拘束時間が長い研究室だったため、研究職を諦める学生は多かったですね。

文系就職したらキャリアパスは一方通行?研究職への未練はないか

文系就職のデメリットは感じてますか?

ー今の仕事が面白いので、特に後悔はありません。ただ、文系就職の場合、キャリアがほぼ一方通行ですね。例えば、私が営業やマーケに行くことはできますが、今から研究開発の部署に異動するのは不可能です。逆に、開発から(技術)営業に異動する人は結構いますけどね。弊社の研究職はMBA留学している人もいますし。理系→文系は可能ですけど、逆のキャリアはかなりハードルが高いです。

『メーカーの研究開発職』に限れば、新卒の就活でキャリアがほぼ決まってしまうのが現状です。
中小の研究開発→大手というキャリアアップは可能にしても、営業や経理から研究職へのキャリアチェンジは、技術色が強いメーカーではほぼあり得ません。
(食品の営業→商品企画開発みたいなルートはあり)

営業などは研究に比べて専門性はありませんが、言い換えれば”汎用性が高い”とも言えます。対して、研究職は専門性が高い分、一度レーンを外れると戻れない職種でもあります。
本当に『研究開発職』への未練はないか、就活前に覚悟を決めなければいけません。

エンジニア、プログラマーは複業でキャリアを積む手も

ただし、IT系のエンジニアやプログラマーの場合は、フリーランスでも経験が積みやすい職種です(少なくとも研究に比べれば)。また、スキルがあれば職種未経験でも採用されやすいフィールドです。
ハードなキャリアになりますが、複業として『理系職』の勉強とアウトプットを続けていくというのも選択の1つです。その場合はGithubやSNSなどを活用してポートフォリオを作っておきましょう。最近はプログラミングスクールも豊富です。
ただし、本業で専門を磨き続けてきた人に、中途未経験から立ち向かうハードルは極めて高いです。待遇も悪くなりがちですからね。

就職してから『やっぱり研究が好きだったな』とならないように、自分が何でお金を稼ぎたいのか気持ちを整理しておきましょう。

実際、文系ノリには苦労する

『文系ノリについていけない』

下らないようで大きな問題です。特にメーカーでは同期であっても研究職、エンジニア、営業職同士でミゾを感じることは少なくありません。
理系の穏やかで閉鎖的な雰囲気に慣れている理系学生にとって、事務系職種のカルチャーについていけるかは死活問題。

職種よりも企業選びの問題かもしれませんが、事務系職種、特に営業職は人間関係がウェットで、ウェイで、体育会系なところも少なくありません。
恋愛トークや下ネタについていけない(もしくは話のレベル、経験が違いすぎる)、あるいは趣味が合う人が全くいないなど…。

理系は奥手でオタク、文系は体育会系で恋愛上手…というのはあまりに古い考えですが、専門を変えるというのはカルチャーが違う場所に飛び込むということ。
環境の変化に弱い人は文系就職すると大きなストレスを抱えてしまうでしょう。

文系と理系の給与とキャリアアップ

待遇面はどうですか?会社でのキャリアパスなど…

ー入社直後は文系と理系はほぼ変わりません。弊社は若手でもポジションがあるので、学部卒の一部は院卒が入ってくる頃には昇格していました。
研究職からトップマネジメント層に行っている人はわずかですね。専門知識があるため、転職で年収をあげている人もいます。MBAを取りに行ってマネジメント側に動く人もたまに…
生涯年収は…どうでしょう。アベレージではそこまで変わらないと思いますよ。ただ、ずっと技術畑にいるとマーケットや経営の感覚が身につきにくいため、本当に上を目指すならどこかでキャリアにテコ入れしなければいけないと思います。

これは良い知見です。
エンジニアやプログラマーなどでは高年収の人も増えてきましたが、製造業の技術系はどうしても視野が狭くなりがちです。
(そもそもIT業界自体、年収幅がピンキリですが)
営業や企画職を挟んだり、あるいは研究や工場のトップになれなければ、社内でのキャリアアップは難しくなります。結果として生涯年収に差が出てくると…。

『お金を稼げる技術、スキル』にどうシフトしていくかが年収アップ、キャリアアップの鍵になってきます。

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就職活動で注意すること

学部生の文系就職は良くも悪くも平等

学部生であれば専攻に関わらずどんな文系就職も対象になります。
そもそも、日系企業(の事務系職種)では学部レベルの知識を『専門性』として評価していません。簿記や会計士、英語などの”資格”や”スキル”は別ですが。
(※海外留学や外資ならGPAは高い(>3.5)方が有利)

理系→文系就職というと論理的思考力分析スキルをPRすべきとも言われますが、これも正直アヤシイところ。
コンサルなどではそもそも筆記、WEBテストで厳しく評価されますし、”論理的思考力”があっても、それを”しゃべり”に消化できない理系学生は少なくありません(いわゆるコミュ障…)

『なぜ理系に進んで事務系に就職するのか』という答えだけは用意しつつ、文系理系同じ土俵であると認識しておきましょう。

研究室の拘束時間と文系就職の『ガチさ』

むしろ就活が『平等』であることは、理系学生にとってデメリットかもしれません。
特に研究室に所属していたり、レポートに追われている理系学生は、文系就職の『ガチさ』についていけるでしょうか?

彼らはよほど頭の弱い人しか落とさないような授業を受け(もしくは受けずに単位を取れる)、大学3、4年のほとんどを就活(筆記・面接対策、OB訪問、インターンなど)に捧げる人もいます。
理系就職のように『ちょっとSPI対策して、学歴と専門性をミックスしてあげたら大手研究職が出来上がりました』みたいなユルい就活をしている文系学生は皆無です。
新卒採用システムの是非は置いておくにしても、文系就職するということは、そういうレベルの学生と争うということを忘れないでください。

理系大学院生への落とし穴|『2年の社会人経験』にどう勝つか

私が修士で就活していたころ、あるメーカー人事に言われました。

『修士から営業職は採用していますか?』

ー区別はしていないですけど、修士なら修士なりの武器を見せてもらわないと、正直学部生を優先します。2年間彼らはビジネスの現場で経験を積んでいる。この職種では、修士での経験が彼らの2年間に勝るとは考えていない。もし事務系職種を受けるなら、そのつもりでPRしてほしい。

なんとなく聞いただけでしたが、当時はグサッときましたね(苦笑)

実際、理系修士からMRや営業、官公庁に就職する人はたくさんいますが、こう考える人事がいるのも事実。
『なんとなく大学院に進んでみたけどやっぱり違った』みたいにネガティブな院進を決めた人は苦労しがちです。

大学院生は、2年の社会人経験に勝つことよりも、違う視点や価値をアピールすべきでしょう。
例えば、論文作成であれば文章の組み立て、上級英語、論理性を、学会発表であればスピーチ、プレゼンスキル、英会話(国際学会)、普段の研究であれば最先端のテクノロジー知識などをPRできます。
企業ではどうしても市場ありきの技術開発になります。アカデミックな場所での知識、経験でしか得られないインプットで、何か企業の戦略を提案できれば満点ですね。
修士の2年間が、営業での2年間と比べてどのような違いを生み出せるか…これを伝えられないと、理系大学院からの文系就職は厳しくなります。

【求められる理系】文系と理系のハイブリッド職もある

電通の理系人材割合

電通では2019年度の新卒採用サイトで理系人材、理系頭脳の社員をピックアップしている。デジタル技術に対応できる人材を求めているためだ。

出典:理系頭脳社員紹介 | PEOPLE | DENTSU RECRUIT 2019

学生は文系就職、理系就職と分けがちですが、そもそも文系、理系どちらの要素もある職種も多いです。
コンサルには基礎統計学や大学レベルの数理計算も求められますし、技術営業であれば大学院で学ぶ専門知識も十分すぎるほど役に立ちます。製薬会社のMRやMSLは理系院生のメジャーな進路の1つですし、食品の商品開発は顧客対応や営業同行も求められます。

最近ではエンジニアからITコンサル、研究から技術営業など、転職マーケットでも職種を変えることは珍しくありません。
ちなみに私も生産技術から研究開発から商品開発とキャリアチェンジを決めています。

それだけ、広い知識が求められる職種が増えているということ。『理系の文系就職』のハードルはどんどん下がっています。
理想のキャリアを手にするために、仕事をよく知り、自分の知識をどこに活かせるか考えておきましょう。

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【おわりに】理系学生の文系就職は本当にもったいない?

理系は学費も高いし、専門性も身につきます(一部の学部を除く)。
理系から文系就職すると『もったいない』と揶揄する人もいますが、それはもはや時代遅れ。
文系でも理系の知識、またその逆が求められる現代では、理系として自分をどこまで追求するか決めておかなければいけません。

とことん追求して研究職になるのか、学部で理系を切り上げて全く別の仕事に就くのか、理系と文系のハイブリッドを目指すのか…
自分に素直なキャリアプランを育てていきましょう。それでは。