【職業病】
職業病(しょくぎょうびょう、Occupational disease)とは、特定の職業に従事することにより罹る、もしくは罹る確率の非常に高くなる病気の総称である。
医学用語では「職業性疾病」、労働基準法では「業務上疾病」と表現される。また転じて、特定の役務を行なう人に降りかかる災難を指す場合もあるほか、特定の職業に就く人に顕著に見られる問題のある傾向も、この言葉で形容する場合がある。
皆さんは職業病ってありますか?
僕は今の会社で3社目ですが、新卒から一貫して食品メーカーで技術系(研究、生産、商品開発)のお仕事に携わっています。
子会社や顧客との共同開発も含めると、扱った食品は乳製品を筆頭に、飲料、粉モノ、調味料、お菓子などなど…色んな食品に携わりました!
ほとんどの家庭料理は作れますし、主夫に必要なスキルはかなり高いと自負してます!(誰か…)
『食品メーカーの商品開発』って、けっこう人気職種なんですよ。
農学部や食品系の学生なんかが殺到する狭き門です。
『楽しそう』って印象が多いみたいですね…。
うーむ…。
今回は、食品メーカーで商品開発に携わる僕に起こった変化について語ります!
食品メーカーを志望する学生も、全然関係ない仕事の人も…
『作って食う。そして売る。』
食品開発の陰と陽…ぜひ見てってください。
1.太る
20代前半(新卒2年目くらいまで)はまだ良かった。
僕、いわゆる『どんなに食べても太らない系男子』だったんですよ。
昔は体型もガリッガリ。
それが、アラサーに差し掛かった頃…なんと1年で11kg太りました。
プライベートの食生活はなんら変わりません。
しいていえば、研究から開発メインの仕事になり、試食をする機会が圧倒的に増えました。
粉モノ(小麦粉とかね)を使って顧客と商品を共同開発していた時は、
始業→唐揚げ試食→昼食→天ぷら試食→スパゲッティ試食→飲み会
みたいなスケジュールだったこともあります(ウェップ
もちろん、風味評価が出来ればOKなので、お腹いっぱいは食べません。
しかし、『食べることが仕事』のハードさを理解して頂けるでしょうか…。
女性も同じ仕事をしますからね!志望する学生は覚悟っ…!!
2.舌が肥える
そもそも、味覚音痴ではこの仕事は務まりません。
多くの食品メーカーには『官能評価試験』というものがあります。
酸味、苦味、甘味、塩味、旨味といった『五味』の濃度差などを当てる試験です。
濃度差といっても、0.5%対0.6%とかですから、結構ムズいですよ!
落ちたからといって左遷やクビになることはないですが、合格しないと大事な試作品の評価メンバーから外されることも…。
開発者にとっては大事な試験です。
僕もテスト前は業務終了後に練習してました!
3.食費が浮く
これは会社によるかもしれませんが、試作を繰り返していると、とにかく『余る』んですよ。
捨てることは出来ますが*1、やっぱり勿体無い!出来るだけ持って帰ります。
乳業メーカー時代は、大量のアイスクリームを渡されて
『(こんな食わねえよ…)』
案件が発生してましたが、フライや唐揚げなんかは一人暮らしには助かりましたねー!
あと、調味料も何気に助かります。『和風だし』を業務用サイズ(1kg)で渡された時は困ったけど。
種類や量にもよりますが、食品の開発者の特権でもあります!いぇい!
4.便通が良くなる
僕は、原料メーカーと乳業メーカーで働いた経験があります。
乳業メーカー時代は、乳製品を毎日摂取していたので、自動的に腸内環境が改善されました!
元々便秘体質ではないですが(ただし下す)、毎日1、2回、質の良いウンコを生産していましたよ!
食うから量もすごい…。
僕のウンコの大きさ記録は、この仕事を始めてから塗り替えられ続けています…。
5.自社製品を受け付けなくなる
僕は、食品メーカーの中でも大企業のグループ企業に勤めていました。
この手の会社にありがちなのは『プライベートでも自社関連商品の購入を強く勧められる』ということ。
例えば、アサヒやキリン(三菱)などの関連企業では、飲み会の予約に、
『◯◯ビール置いてますか!?』
という質問が必須です。
若手は正直どうでも良いって考えの人が多いですが、役職が上がるとココにこだわる人がとても多くなる。
そうじゃなくても、毎日アイスクリーム10個味見なんてしてたら、プライベートでアイスクリームなんて食べなくなります…
『(仕事以外でアイスクリーム見たくない…)』
って時もあれば、単純に、
『会社で食える食品に金払うのが勿体無い』
って考えてる人もいました。
自社商品は好きですし、自信のあるものを売り出すのですが、毎日食べてると…さすがに…ね…。
6.料理を再現できる
2.舌が肥えるに似てますが、僕の特技でもあります。
簡単なレストランの料理(◯◯炒めとか)なら、大体何の調味料を使ってるかわかるので、家でざっくり再現できます。
もちろん、業務用の調味料は家に無いので、レベルが落ちる…というか浅い味になりますが。
基本的に食品メーカーの開発者であれば、五味が舌に刷り込まれているので、
『この調味料とあの調味料を組み合わせれば、大体こんな味になる』
がわかります。
料理が上手になるというか、失敗しないという方が正しいですかね。
7.顔がテカる
脂っこい料理をひたすら試食していた時期は、ガチで油肌になりました…。
ちなみに、油脂の科学については以下の記事でも簡単に書いています。
栄養が偏ったせいか、おニキビも増えましたなぁー。
プライベートでは五大栄養素やカロリーも試算して食生活を送っていましたが、仕事で全て台無しになる生活でしたw
その分はできる限り運動して取り戻します。
運動しない食品の開発者は…悲惨かも…
8.料理にうるさくなる
なるべく言わないようにしてますが、たまに致命的に料理下手な人いるじゃないですか。
嫌味に聞こえるかもしれませんが、僕の中には『どうしてチャーハンを不味く作れるの?』的な考えがあるんですよね。
僕は一時期、寮生活をしてましたが、そこはキッチンが共同でした。
営業の人がそりゃもう適当に料理をしてると、
『(なぜ調味油をそのタイミングで入れるんだ…)』
『(それそんなに加熱したら健康効果台無しやないか…)』
的な考えが脳裏に浮かんでしまうのです。
女性受けは良くないですね苦笑
ちなみに調味料関係だと、こんな書籍も面白くておすすめですよ。
9.まずパッケージの裏面を見る
これはまさに職業病ですね。
コンビニやスーパーで商品を手に取ると、どうしても原材料表示を見てしまいます。
『(あー、これでこの食感出してるのか…)』
『(これなら家でも作れるな…)』
などなど。
裏面を見るのが楽しくて仕方ありませんw
10.健康診断で引っかかる
健康には気をつけてるんですけど、僕は肝臓の数値がちょい悪いんですよ。
コレステロールや血糖値はなんとか正常範囲内(次の健康診断が怖い)。
理由はもう『食べ過ぎ』ですよ…
ヨーグルトやチーズ等の乳製品は健康に良いですが、限度を超えると普通に糖分や塩分の過剰摂取に繋がります。
オイリーな食品を大量に食べてた時期もありました。
『製菓会社の開発は虫歯が多い』なんて噂もありますね。真相は果たして…。
おわりに
最後までお読み頂きありがとうございます。
学生には結構人気の『食品メーカーの商品開発職』!
『中の人』から実情を少しだけ伝えてみました。
でもやっぱり楽しいですよ。
食うの好きだし。
食べた分は運動して取り戻しましょー!
それでは。
みるおか
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*1:汚くない廃棄食品は飼料、肥料用に引き取られることが多い
コメント
[…] 体的な情報を提供しているなぁと思ったのは、みるおかさんの記事くらいである。まじで。 […]